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「・・・なんだよ、それ」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 悠河が帰った後、うさぎはいてもたってもいられなくなり、受話器を取って衛に電話をした。 “うさぎちゃん。これ・・・” “・・・・・・・・・・・・・・・” 悠河がうさぎに手渡したものは大分古びれた一枚の紙。開いてみるとクレヨンで・・・ 『おっきくなったら たかちゃんの およめさんになる うさぎ』 ・・・もう大分滲んでぼやけている。これを今まで持っていたなんて・・・。 “出発は1週間後だよ。その間に荷物をまとめておいてね” “・・・・・・!” 「うさ・・・お前は・・・・・・」 「あたしは・・・っ!ニューヨークなんて行かない。あたしが愛してるのはまもちゃんだけだもの・・・だけどっ―――!!」 「・・・だけど?」 衛は静かにうさぎの言葉を待つ。うさぎが自分を愛していることはわかる。彼女が自分を捨ててあの男と一緒に行くなんて有り得ないことも。 だけどうさぎの心は追い詰められてるようだった。 「だけど、どうした?」 衛は自分の声が震えるのをやっとの思いで抑えている。 「たかちゃんね・・・昔からすっごくピアノが上手だったの。あたしは音楽のことはよく分からないけど、小さいころからすっごく有名な先生に就いてて、将来は世界的なピアニストに間違いないって・・・。それがあたしのために・・・」 「それはうさの責任じゃないよ」 「うん・・・。だけどなんか気になっちゃうの。あたしはそんな約束すぐに忘れちゃったけど、たかちゃんは違った。遠い異国で言葉も通じない中であたしとの約束だけが総てだったのかなって・・・。それでその約束を守るために将来を有望されていたピアノを捨てたのかなって・・・。とすればあたしはたかちゃんの人生をめちゃめちゃにしちゃった・・・」 「そんなこと・・・!」 衛は必死にうさぎを宥める。うさぎはただただ「うん・・・」と頷くだけだった。 ♪♪♪ 翌日衛はいつも通り病院へと出勤したがどうもうさぎのことが気にかかって仕方がない。 こんなときまで相手のことを心配して悩んでるのだからどこまで優しいのだろうと思ってしまう。 うさぎの優しさは総てを包み込んでくれる光だ。衛自身その優しさに今までどれだけ癒されてきたか数え知れない。しかしその優しさが時としてうさぎ自身を苦しめないだろうかと衛は常日頃から心配していた。 「あの、地場先生。お客様です・・・」 衛のところに受付の事務員の子が告げに来る。 「俺に?誰だろう。約束は何もないんだけどな・・・」 「お名刺お預かりしています」 受け取った名刺を見ると衛の表情は一気に固いものとなる。それは高城悠河のものだった。 「第一応接室にお通ししています」 「あ・・・あぁ。ありがとう・・・」 (何の用だろう。わざわざ俺の元にやってくるなんて・・・) 勤務時間中なのに関わらず一方的に尋ねてくる相手を不快に思いながらも、衛はいざ敵の地に足を踏み込まんとするかのような面持ちで第一応接室へと向かった。 「お待たせいたしました」 特にノックもすることなく衛は悠河と対面する。丁寧ながらもどこか威圧的な様子をお互いに持ち合わせていた。 「突然すみませんね・・・。ここしか分からなかったものですから」 どこか勝ち誇っているような表情。衛は虫唾が走った。 彼の全身から醸し出される、自分を卑下する態度。先ほど受け取った名刺にも今世界で一、二を争う大企業のCEOと書かれていたりと、明らかに衛に対する挑戦状だった。 「用件を簡単にお話ください」 衛はあくまでいつものポーカーフェイスを気取り、ソファに腰かけながら話す。 「用件・・・ね」 悠河はあくまで冷静だった。 「まぁ、そうだね。手っ取り早く済ませたほうがいいね。彼女からは手を引いてもらいたい」 「“彼女”・・・」 「もちろん、うさぎちゃんのことだ」 「・・・宣戦布告、というやつですか?」 「いや、警告だ」 わざと強めて悠河が言い放つ。衛の頬がピク、と反応した。 二人の間には言葉は荒げないものの静かなる戦慄が張り詰めている。どちらかが一歩でも退こうとするならば一気に攻め入るようだった。 「婚約をしているらしいが、彼女は元々僕のものだ。人のものに勝手に手を出されちゃ困るな―――」 「彼女を“もの”扱いしないでくれないか」 言葉を捻り伏せるように衛が語気を強める。今度は悠河の頬がピク、と反応した。 「・・・おっと、これは失礼・・・・」 悠河は冷静を装いながらもこの状況が自分に有利になるようにと画策する。 衛は白衣のポケットからタバコを取り出す。1本を口に咥え、火をつけるとゆっくりとその煙を肺に吸い込んだ。 「・・・高城さん、でしたね・・・・」 赤く燃えるその先を見つめながら、ゆっくりと煙を吐きながら衛は話しかける。 「・・・俺は“うさ”を愛してる。彼女を愛する一人の男として、君を羨ましいと思う。君は俺の知らない“うさ”を知っている。いくら俺が君と張り合っても、俺は幼い頃の“うさ”を知らないからね・・・」 “うさ”と敢えて自分が普段呼んでいる愛称で言うのは衛から悠河に対する挑戦だった。 自分には彼にはない一番今に近いうさぎを知っている。それを悠河に知らしめるために・・・。 「だがいくら君が彼女を自分のものと言い張っても、うさは承知しないだろう」 「そんなことはない。彼女は心優しい子だ。僕との約束を破るわけがない」 「確かに彼女は心優しい人だ。・・・しかし、君は哀れだ」 「何―――っ!?」 悠河の眼に一瞬で敵意が現れる。そんな彼の姿を衛は努めて冷静に見ていた。 「君は哀れだと言ったんだ。幼い頃の彼女との約束を胸に今まで生きてきた、純粋極まりないと言ってしまえばそれまでなんだがな。だが実際の君はたかが子供の約束に縛られ続けて人生まで振り回された哀れな男だ」 「貴様・・・侮辱するのか・・・・!」 「事実を言ったまでだ。そして彼女は君とは一緒にはならない。俺の知っている彼女は・・・、俺の愛したうさは君と人生を共にしたりしない。結局は君の独り相撲だ。もし、彼女が君と一緒にニューヨークへ行くというならば―――」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 「―――そんな彼女に俺は何の未練もない」 一息間を入れて、衛は答えた。悠河は何も答えることができない・・・。 「俺の意見は以上だ。ではもう帰ってくれ。おれは勤務中だ」 そう一言残し、吸殻を灰皿へと捨てると衛は応接室を出て行った。 一人残された悠河。両の拳を握り締め、わなわなと震えている。 衛を自分の足元に平伏させようと意気込んできたのに自分の方が貶される結果となった。悠河の自尊心は大きく傷つき、衛に対する憎悪の気持ちが湧き上がっていた―――。 *********************************************** 毎度のことですが駄文でスミマセン ![]() 久々小説更新です。 このリクエスト小説、前後編の2話完結にしようかと思ってたんですが敵いませんでしたorz あたしの悪いところは文章を完結にまとめられないところです。(ハァ・・・) もう次話で終わるかな・・・(多分) |
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こんにちは。桜です! ついに来ましたね! 衛のセリフがすごく印象に残って、衛がこんなに カッコいいと思ったのは 久しぶりでした! 次回が楽しみですたb |
桜 2009/01/07 18:13 |
桜さんへ |
かれん 2009/01/08 08:45 |
こんばんは、大福です |
大福 2009/01/09 00:32 |
大福さんへ |
かれん 2009/01/09 08:51 |
遅ればせながら(>_<)明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 |
奈菜 2009/01/09 14:58 |
奈菜さんへ |
かれん 2009/01/10 01:28 |
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